研究概要 |
トカマク型核融合炉におけるプラズマディスラプション時の金属壁の溶融蒸発・再凝固を模擬実験・数値解析の両面から検討し、特に再凝固後の表面変形の原因を解明することを目的としている。 今年度は、再凝固模擬実験装置を用いて、液層表面の一部分を加熱し、流体層(シリコンオイル)にアルミニウム粉末を混入し、溶融層の流れの可視化を行なった。液層表面の温度分布の差が、表面張力の差を生じ表面張力の大きい方へ流動が起こることが観察された。このとき、急加熱の場合には、流動が激しくなり、自由表面の波立ちが観察された。また、液層の厚さによって流動様式が異なることが分かった。 次に、数値解析によって溶融金属層内の流動を模擬した。溶融層厚さの薄い(高アスペクト比)2次元矩形領域の表面の一部分に熱流束を与え、渦度・流れ関数法を適用して、トランスピュ-タ4台を用いた並列処理による数値解析を行なった。プラントル数,レイリ-数,マランゴニ数,アスペクト比,熱流束分布形状等による溶融金属層内の流動様式の変化をシミュレ-トした結果、次のことが明らかになった。表面から加熱された流体は安定成層であるが、表面張力の温度係数の影響により、鉛直方向に循環流が形成される。表面張力の温度係数が正の場合の循環は負の場合の循環と反対になる。そのため低温壁からの流体の上昇があり、それに伴う表面低温部からの移流の冷却効果がある。そのため表面においては、水平方向の温度勾配が減少するので、流動は抑えられるということが分かった。また、マランゴニ数が正では、レイリ-数が大きい程循環が抑制されたが、これは浮力が下向流と逆方向に作用するためと考えられる。
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