階段や配管などのある人工環境や不整地・傾斜地などの自然環境に自立的に適応していく歩行ロボットの開発のためには、ロボットに「自ら知識を獲得する機能」を持たせる必要がある。従って、本研究では、『歩行ロボットに試行錯誤的に階段昇降、不整地・傾斜地歩行などの動作を計画・実行させ、センサ情報の解析結果を通して知識の獲得を行わせることにより、未知の環境に自立的に適応可能な歩行ロボットを開発すること』を目的とする。 (1)高性能ワ-クステ-ション上に、歩行ロボットに必要な最初の知識として、環境の幾何モデルを構成するシステムを作成した。 (2)CCDカメラやレ-ザスポットなどのセンサデ-タから、自動的に幾何モデルを生成するシステムを構成した。その際、視点を効率良く制御するアルゴリズムを開発した。 (3)製作した脚車輪型ロボットに傾斜角センサ・視覚センサを搭載し、平成元年度に構築した知識表現システムを用いて実験を行いながら、「知識利用システム」を構築した。 幾何モデルのように数学的に表される「宣言的な知識」と、脚車輪型ロボットに不整地歩行などを行わせるときに必要な制御アルゴリズムなどの「手続き的な知識」を、統一的に扱うことができる「知識利用システム」の重要性が明かになった。このために、「知識利用システム」の開発が平成2年度のメインテ-マとなり、「知識獲得システム」の開発は平成3年度に持ち越された。
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