研究課題/領域番号 |
01460123
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
井口 雅一 東京大学, 工学部, 教授 (60010683)
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研究分担者 |
今泉 博英 東京大学, 工学部, 助手 (70010858)
藤岡 健彦 東京大学, 工学部, 助教授 (60167624)
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キーワード | 機械力学 / 制御工学 / 車両工学 / ロボティクス / 月面作業車 / 不整地作業 / 姿勢制御 |
研究概要 |
不整地での移動作業には、これまで別々に研究が行われてきた移動機能と作業機能を組み合わせる必要がある。どちらの機能も転倒しないための姿勢制御が主幹制御である。本研究においては、二つの機能の姿勢制御系を統合し、相互に機能分担するとともに、相互にバックアップし合いながら、機能の拡大と信頼性の向上を実現できるようなシステムを構築することを目的とした。 月面においては、重力が地球上の6分の1となる。マニピュレ-タの動作慣性力や移動時の加減速にともなう慣性力は地球上と同じであるため、脚の荷重変動が大きくなり転倒しやすい。そのため、姿勢制御が地球上よりもずっと困難になる。月面作業車の姿勢制御に関する研究を行った結果、姿勢制御には移動機構による状態フィ-ドバック(PID)制御に加えて、作業機構と移動機構を組み合わせてフィ-ドフォワ-ド制御を行う必要があることがわかった。このフィ-ドフォワ-ド入力の算出方法として、両機構を特性にあわせて協調運動させる「力・モ-メント分解制御法」を考案した。これは、移動作業時に姿勢制御のために必要となる制御入力を(1)動的なモ-メント、(2)動的な力、(3)静的な力・モ-メントの3つに分解し、(1)は作業機構で、(2)と(3)は移動機構でそれぞれ補償制御する方法である。これによって、姿勢が極めて安定に制御され、月面作業車はより高速な作業及び移動が可能となった。 また、月面では地表面がレゴリスという砂状の物質から成り非常に軟弱なため、地面の変形により作業車の姿勢が崩れたり、また移動時に車輪がスリップすることになる。そこで、計測される実際の前後加速度を用いて、地面の変形とスリップに対処できるように制御法を修正した。 月面での6分の1重力及び軟弱地面を模擬した実験装置を用いて移動作業の実験を行い、提案する制御法の有効性を確認した。
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