研究課題/領域番号 |
01460127
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
田頭 博昭 北海道大学, 工学部, 教授 (10001174)
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研究分担者 |
佐藤 孝 北海道工業大学, 工学部, 教授 (90048025)
下妻 光夫 北海道大学, 医療技術短期大学部, 助教授 (70041960)
金子 良松 北海道大学, 工学部, 助手 (90001271)
酒井 洋輔 北海道大学, 工学部, 助教授 (20002199)
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キーワード | ベーパーミスト誘電体 / 気体誘電体 / 混合ガス / 液体誘電体 / 計算機シミュレーション / モンテカルロ法 / 衝突電離 / 絶縁破壊 |
研究概要 |
ベーパーミスト誘電体は絶縁性液体のミスト(微細液滴)を気体誘電体中に分散させたもので、大きな絶縁耐力の向上、冷却能力の上昇、優れた放電抑制およびコロナ抑制能力が報告されており、ガス絶縁変圧器やガス絶縁コンパクト開閉装置などの高電圧電力機器の絶縁に適用して、その小型化、高性能化を特段に進めるための極めて高いポテンシャリティーを秘めている。本年度は実験装置を建設整備するとともに計算機シミュレーションの体勢を整え、これによって、優れた絶縁液体の探索とベーパーミストによる破壊電圧上昇機構の解明を進めた。 I.絶縁性液体の開発:代表者らはC_2Cl_4、C_8F_<18>、(C_4F_9)_3N、C_8F_<16>O、C_6F_<14>等の絶縁性液体について空気を気体誘電体(バッファーガス)とした時のベーパー特性、ベーパーミスト特性と特徴を明らかにしてきたが、今年度は更にFC-77、FC-84等(いずれも3M社商品名、組成は明らかにされていない)について特性を研究した。その結果FC-84とFC-77がベーパーミスト破壊電圧が大きく、特性が優れていることを見出した。 II.破壊電圧上昇機構の解明:この機構についてはベーパーミスト発生による初期電子の抑制等をはじめ諸説があるが、未だ十分に解明されていない。本研究ではこれを電離電流発生の基礎過程の観点から実験及び計算機シミュレーションを行なって解明を試みた。その結果、同一のギャップ条件(ガス、液体の種類、印加電圧、キャップ長等)においては、ベーパー、更にベーパーミストを加えることによってギャップ間に発生する電子なだれの大きさの、大きなものの発生が抑制されることを実験的に明らかにするとともに、この過程を電子による気体分子の衝突電離過程と陰極における二次過程で計算機シミュレーションした結果、定性的に非常によい一致を見た。なお、気体分子の衝突電離と二次過程のいずれの抑制がより重要かを明らかにするのが、今後の課題である。
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