研究課題/領域番号 |
01460134
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
電子材料工学
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
吉川 明彦 千葉大学, 工学部, 教授 (20016603)
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研究分担者 |
山賀 重來 千葉大学, 工学部, 助手 (90158080)
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研究期間 (年度) |
1989 – 1991
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キーワード | 超格子 / (IIIーV)ー(IIーVI)超格子 / 光励起CVD / 原子層エピタキシ- / 有機金属分子線エピキシ- / 化合物半導体 / GaAs / ZnSe |
研究概要 |
本研究ではこれまでにない新しい物性が期待できるIIーVI族(ZnSe)とIIIーV族(GaAs)化合物の超格子の作製を目的とするものである。この系の超格子を作製するには、相互拡散を抑えるためにできるだけ成長温度を下げ、また急峻な界面を実現するためには1原子層ずつ成長する原子層成長を実現することが重要となってくる。本研究では主にこれらの点を考慮して研究を進めた結果、以下の成果を挙げることができた。 1.有機金属を用いた分子線エピタキシ-法により、GaAs基板上でのZnSeの原子層成長を実現した。 2.ZnSeの成長時にArイオンレ-ザ光を表面に照射することにより成長温度の大幅低下に成功した。また、この光照射効果はZnSeの中で生成された過剰正孔による光触媒効果であるという成長機構を提案した。 3.さらに、ZnSe成長表面の分子レベルでの観察をレ-ザ光をプロ-ブとしたRDS法により行い、原料の供給に対した信号を初めて観測した。 4.ZnSe膜上のGaAsの成長では、Gaだけでなく砒素に関しても有機金属原料を用いた分子線エピタキシ-成長を検討したところ、従来よりも低温成長が可能であることを示した。 5.この時2と同様にArイオンレ-ザ光を照射すると、さらに低温で成長することに成功した。しかもこの光照射効果は、ZnSe膜が存在することが本質的でGaAs上ではほとんど効果がないことを明らかにした。 6.GaAs成長時に於いても、表面のその場観察するためにSPA法を用い、ZnあるいはSe面上でのGaあるいはAsの分解の様子をレ-ザ光照射の影響も踏まえて詳しく観察し、最適条件を検討した。 7.ZnSeーGaAs超格子の各層厚に対する禁制帯幅の値を数値計算により求め、最適設計の指針とした。 以上のように本研究では有機金属分子線エピタキシ-、光照射、原子層成長、分子レベルでのその場観察等、最新の薄膜形成技術を駆使し、ZnSeおよびGaAsの低温成長を可能にすると共に、光触媒による新たな薄膜堆積技術を提案するなど、多くの成果を見いだすことに成功した。今後は、最適設計基準に基づき超格子を作製すると共に、新たな物性を有する機能性薄膜の開発が期待できる。
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