金属ー酸化物半導体接触を用いた良好な選択性と高い感度を有する水素センサ及び正の抵抗温度係数(PTC)を有するサ-ミスタについて、それらの動作機構の解明と製作条件の最適化を目指して研究し、次の正果を得た。Sr _xBa_<1ーx>TiO_3半導体磁器とPd薄膜の接触からなるダイオ-ドを製作して、その順方向電流が水素によって増加することを見い出した。その障壁の高さの水素分圧依存性はPdーMOS構造と同様の吸着の関係式に従う。上記磁器を陽極酸化しその上に金を堆積した構造のダイオ-ドにおけるPTC効果について考察し、その逆方向電流が、薄い絶縁層のトンネル電流を与えるFowlerーNordheimの式に従うことを明らかにした。 ガラス基板上のスパッタWO_3膜に極薄Pd膜を堆積した構造の透過形水素センサを製作し、水素による分光透過率の減衰は波長900nmにおいて最大となること、水素に対する応答時間は10^2sのけたであることを見い出した。このセンサを真空中、200℃で熱処理すると脱水のため応答は劣化するが、引き続く水蒸気中熱処理または空気中長時間エ-ジングにより応答が部分的に回復する。 W板上に形成した陽極酸化膜にPdまたはPt極薄膜を堆積した構造の反射形水素センサは約10sの応答時間を示した。X線回折によってこの陽極酸化膜はWO_3・H_2Oからなることがわかった。膜の着色機構は水素タングステンブロンズの形成による自由電子濃度の増加に基因し、膜内に含まれる水によって支援されたプロトンの拡散が着色反応を律速していると考えられる。また、良好なセンサを製作するために必要なW板の研磨法、化成電圧印加法などを最適化した。
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