研究課題/領域番号 |
01460141
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
塩崎 忠 京都大学, 工学部, 助教授 (80026153)
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研究分担者 |
清水 勝 京都大学, 工学部, 助手 (30154305)
安達 正利 京都大学, 工学部, 助手 (90026287)
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キーワード | 強誘電体 / 圧電体 / チタン酸鉛 / 酸化亜鉛 / 機能性セラミック薄膜 / 光MOCVD法 / ペロブスカイト単一相 / 光機能素子 |
研究概要 |
優れた強誘電体、圧電体であるチタン酸鉛(PbTiO_3)および酸化亜鉛(ZnO)等の機能性セラミック薄膜の成長法として光MOCVD法を導入することにより、高品質薄膜を低温で得ることができた。 PbTiO_3の光MOCVD成長においては、原料としてTi(i-OC_3H_7)_4およびPb(C_2H_5)_4を用いた場合、成長速度は紫外光照射により必ずしも増加するとは限らず基板の種類や反応ガスの供給状態によって異なる。しかし、光照射は結晶性に影響を及ぼし、サファイア基板上では600℃でペロブスカイト単一相を有する薄膜が得られ、サファイアC面上では光MOCVD法で成長させた場合のみ(III)配向膜が得られた。また薄膜表面の平坦性の改善や薄膜組成の制御に光照射が効果を及ぼすことが見い出された。得られた薄膜は強誘電性をあらわすヒステリシスカ-ブを示すものの誘電率や誘電損はばらつきが多く、光励起プロセスがこれら電気的特性にどう影響を及ぼすか詳しい解明が今後の課題である。また光機能素子への応用を目的とし、シリコン基板上にPbTiO_3膜を成長させる場合、バッファ層としてのTiO_2層の導入が、その上のPbTiO_3の配向性や界面状態の制御に有効であることを見い出した。 ZnOの光MOCVD成長においては、光照射による気相反応と表面反応との違いを分離することにより表面での光化学反応が、成長速度の増加、低温成長化、結晶性の改善、電気的特性の変化などに重要な役割をはたしていることを明確にした。さらにサファイア基板上に500℃でエピタキシャル膜の成長に初めて成功した。さらに光照射は成長の初期での膜推積に重要な役割をはたすことが解った。またCuのド-ピングによる抵抗率の増加が確認された。
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