研究概要 |
今年度はIIIーV化合物半導体(Al,Ga)Asの上に金属をMBE成長によって,完全なヘテロ接合構造を作製するために成長機構を詳細に研究した.金属として前年度に引き続きNiAl,半導体としては主に(Al,Ga)Asを選び,NiAlをGaAS(001)基板上にAlAsを成長させた上に作成した. (Al,Ga)As上にNiAlを500℃以上の成長温度で作成すると,NiAlは二次元的な成長をせず,非常に異方的な成長をする事が明らかになった.半導体・金属・半導体ヘテロ構造を作成するには半導体の上に金属が完全な二次元構造と成らねばならない.(Al,Ga)As上にNiAlを低温で成長させた後,熱処理した場合は二次元的なきれいなエピタィシ-薄膜が出来,その上に半導体を成長させることも可能であることが昨年度までの研究により明らかになっている.今年度,その成長機構をさらに詳細に研究することにより今まで全く観測されていなかったような非常に細くて長いNiAl金属細線が(Al,Ga)As上にエピタキシ-成長により作成できることが明らかになった.また,この成長機構の研究により半導体・金属・半導体構造を作成する結晶作成条件も明らかになった. (Al,Ga)As上に作成したNiとAlの組成比が1:1のNiAl薄膜は電気抵抗の測定から完全な金属であり,その値はバルクのNiAlより小さな値となった.これは結晶が完全な単結晶であるためである.また,高温成長により作成したNial細線は断面が約30×20nm^2長さが数μmにもなり,低温で金属量子細線特有な現象が観測された.この金属量子細線特有な現象は現在まだ研究を継続中である. (Al,Ga)As・NiAl・(Al,Ga)As構造とNiAl細線のデバイス応用は種々の構造を検討し、現在その構造を作成して研究している.
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