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1989 年度 実績報告書

圧電結晶の熱処理により生ずる自発分極反転現象の解明とその応用

研究課題

研究課題/領域番号 01460154
研究機関東北大学

研究代表者

中村 僖良  東北大学, 工学部, 教授 (00005365)

研究分担者 山田 顕  東北大学, 工学部, 助手 (80134021)
キーワード強誘電体 / 分極反転 / ニオブ酸リチウム / タンタル酸リチウム / プロトン交換 / 圧電性 / 圧電振動子 / 分域
研究概要

本研究代表者はLiNbO_3の素板をキュリ-点より少し低い温度で熱処理するだけで+c面側に自発分極反転層が形成される新しい現象を見出した。さらに、同種のLiTaO_3結晶においては、熱処理だけでは反転は起こらないが、プロトン交換処理後の熱処理により-c面側に分極反転領域が形成されることを見出した。本研究の目的は、この分極反転現象の機構と特性を解明するとともに、反転分域を巧みに利用して単分域結晶では得られない新しい機能や特性を有する各種の圧電デバイスを開発することにある。
本年度の研究により得られた重要な成果・知見を以下に示す。1.熱処理後エッチしたLiNbO_3結晶板の断面内分域構造を観測し、分極反転層の厚さが熱処理温度、熱処理時間、および雰囲気にどのように依存するかを調べた。その結果、処理温度が高く処理時間が長いほど反転層は厚くなり、分域境界は最終的には板厚の中央で止まるという興味ある結果を得た。また反転層の形成には酸化リチウムの外拡散や水蒸気との反応によりできるOH基が重要な役割を演じているらしいことが明らかとなった。2.プロトン交換と熱処理により生ずる分極反転現象について、プロトン交換および熱処理の条件と反転層厚さとの関係を調べた。さらに、誘電率と抵抗率の温度特性を測定し、表面のLi欠乏層でキュリ-点の低下が起こっていることを明らかにした。3.熱処理中の厚み振動の圧電共振レスポンスを観察することにより反転層の厚さの変化を推定する方法を提案した。この方法を用いて、反転分域が熱処理過程の初期にすでに核発生し、徐々に成長していくことを明らかにした。このことは、極めて興味ある知見である。4.実用高周波限界を従来の素子より2倍以上高くできる分極反転層厚み振動子を提案し、試作により高周波用の圧電振動子として優れていることを実証した。

  • 研究成果

    (5件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (5件)

  • [文献書誌] 中村僖良: "Hysteresis-Free Piezoelectric Actuators Using LiNbO_3 Plates with a Ferroelectric Inversion Layer." Ferroelectrics. 93. 211-216 (1989)

  • [文献書誌] 中村僖良: "Local Domain Inversion in Ferroelectric Crystals and Its Application to Piezoelectric Devices." Proc.1989nIEEE Ultrasonics Symposium. (1990)

  • [文献書誌] 中村僖良: "Ferroelectric Inversion Layers Formed by Heat Treatment of Proton-Exchanged LiTaO_3." Applied Physics Letters. 56. (1990)

  • [文献書誌] 中村僖良: "Estimation of Thickness of Ferroelectric Inversion Layers in LiTaO_3 Plates by Measuring Piezoelectric Responses." Japanese Journal of Applied Physics. 1990.

  • [文献書誌] 清水洋: "超音波の発生・受信" 電子情報通信学会誌. 72. 353-357 (1989)

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公開日: 1993-03-26   更新日: 2016-04-21  

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