本研究は、宇宙における構造物の組立に際して問題となるソフトドッキング技術に関して、理論的および実験的研究を行うことを目的としており、本年度は以下のような研究を行った。 1.ランデブ-・アプロ-チにおける低速運動からドッキングにおける衝突運動に至る運動過程の制御については、著しく速度の異なる2つの運動を連続的に制御する必要がある。このような制御の問題に対して特異摂動理論を用いた理論的解析を行い、制御系の構成法に関する検討を行った。その結果ドッキング制御系の構成について特異摂動理論の適用が有効であるという見通しを得た。 2.タ-ゲットとのアプロ-チおよび捕捉のフェ-ズについて、相対位置および姿勢の制御、ドッキング動作の制御、ドッキングにおける緩衝制御、異なる質量の物体間のドッキングを円滑に行うための力およびコンプライアンスの制御、などの基礎的な解析を行い制御系の構成法の研究を行った。 3.以上のような理論的考察に基づきソフトドッキングに関する解析および数値シミュレ-ションを行って実験装置の設計・製作のための基礎的なデ-タを得た。 4.理論的解析で得られた結果に基づき、1次元の緩衝制御およびソフトドッキング実験装置を設計・製作した。この実験装置においてはドッキング物体の運動のために空気式浮上装置、位置検出に超音波式距離計などを用いた。さらにこれらの制御を実現するために現有のコンピュ-タ-を用いて制御用のソフトウエアを開発した。 5.製作した実験装置を用いて種々の基礎的実験を行い、ソフトドッキングに関する最も基礎的なデ-タを取得した。
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