貨物層の一部に液状化が発生する可能性があるとき、過剰間隙圧が増加するには、その周囲の通気性、通水性が問題となる。通気性、通水性がよい場合には、過剰圧力は、間隙流体の移動に伴って速やかに減少してしまうので、液状化は発生しない。通気性、通水性は、間隙にどの程度の空気が含まれているか、すなわち飽和度に依存する。周囲の貨物の飽和度が、貨物の液状化を支配することになる。このような観点にたって、不飽和状態における微粉精鉱および石炭について、一定差圧のもとでの、その通気性を実験的に求めた。この場合、飽和度をパラメタとしている。使用した試料は、インドネシア産銅精鉱、日本産鉛精鉱、中国産硫化鉱、日本産亜鉛精鉱等である。 また、粉炭貨物が海上輸送に適するかどうかを判定するための試験法として、円筒容器に詰められた貨物試料に2gの上下加速度を加え、試料表面に置かれた重りが一定時間内(6分間)に試料中に深く埋没するかどうか、により判定する方法(「貫入法」と呼ぶ)を昨年度開発した。これをさらに、微粉精鉱および類似物質に広く適用できるような一般的な方法へと改良した。この改良は、貫入ビットの形状の変更、ビット圧力の変更等を含んでいる。また、試験条件は、クライテリアの影響についての検討を詳しくおこなった。すなわち、加振加速度の大きさ、加振時間、貫入深さ、ビット圧力、およびタンピング圧力等が、適否の判定結果にどう影響するかを検討し、作業者により個人差を極力小さくするような手法へと修正をおこなった。
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