水分値の多い貨物が液状化したかどうかを判定するには、剪断強度を計測すればよい。すなわち、繰り返し荷重を加えた試料に剪断荷重を加え、これを支え得るかどうかで、液状化が判断される。この考え方をもとにして、「貫入法」が開発された。 貫入法では、水分値の既知な試料を円筒のコンテナに平に入れ、その上に貫入ビットとよばれる重りを乗せ、50/60Hz、3G(rms)の上下加速度で加振して、一定時間内に貫入ビットがクライテリア以上貫入した場合には、液状化が起こったと判断し、それ以下の場合には液状化がおこらないと判断する試験法である。銅精鉱、鉛精鉱、硫化鉄精鉱、亜鉛精鉱、粉炭に対して各種のパラメタに関する試験がおこなわれ、また、フロ-テ-ブル法との相関が実験的に調べられた。それにより、ビット圧力、試料の量、加振時間、貫入法のクライテリアが定められ、上記試料に対して、流動水分値(FMP:Flow Moisture Point)が求められた。この試験法は、フロ-テ-ブル法に比較して、作者の経験に負うところが少なく、再現性がよいことが示された。また、石炭など、フロ-テ-ブル法で試験できなかった粘着性の少ない試料に対しても適応が可能であることが明らかになった。 先に述べたように、本方法は、剪断強度を計測するものであるので、液状化ではなく、単に剪断強度に小さい物質、例えば水分値の大きなニッケル鉱のような泥状の物質に対しても、それが安全に輸送可能かどうかが判断されることが明らかになった。
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