ばら積み貨物の輸送の安全性は、荷崩れと液状化の防止である。液状化は、荷の水分値が一定値以下ならば発生しないとされており、この値(流動水分値)を求める方法が各種提案されている。本研究では、液状化現象を基礎的に捉え、荷の液状化を船体運動と結び付けて研究すると同時に、流動水分値の普遍的な計測法を検討した。 粉炭の液状化強度を振動3軸試験によって計測し、飽和した場合と不飽和の場合についての値を求めた。その結果、飽和では応力比で0.15程度、不飽和では0.30程度の液状化強度があることが明らかになった。 貨物が液状化したかどうかを簡単に判定するには、残存する剪断強度を計測すればよい。すなわち、繰り返し荷重を加えた試料に剪断荷重を加え、これを支え得るかどうかで判断される。開発された「貫入法」では、水分値の既知な試料を円筒のコンテナに入れ、その上に貫入ビットとよばれる重りを乗せ、3Gの上下加速度で加振して、一定時間内に貫入ビットがクライテリア以上貫入した場合には、液状化が起こったと判断し、それ以下の場合には液状化がおこらないと判断する試験法である。各種精鉱および粉炭に対してパラメタに関する試験がおこなわれた。貫入法は、作業者の経験に負うところが少なく、再現性がよい。また、石炭など、粘着性の少ない試料に対しても適応が可能である。 船倉内では、荷重周期が横揺れ周期となるので、現象は周期数秒で起こる。このような状況では、上昇した間隙圧が表面へと逃げ、液状化強度が見かけ上増加することが考えられる。また、場合によっては、間隙空気圧が液状化を促進することもある。これは、貨物における通水性、通気性が関係する。石炭および微粉精鉱に関して、両者のダルシ-係数を計測して、間隙圧の変動を予測する基礎デ-タを得た。
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