構造物の高層化、長大化によって構造物は柔性に富むものとなってきており、風により揺れ易くなってきている。従来の断面形状を変更する耐風制振法は、卓越風向が明確である場合には非常に有効な方法であるが、形状の変更を行えない場合や風向が頻繁に変化する場合には、この方法では対処できないことになる。これに対して、本研究で提案している方法は、風による振動が物体隅角部からの剥離せん断層に起因しているため、この剥離せん断層を機械的に制御してはどうかと言うものである。境界層制御の1つとして用いられている剥離点での流速をロ-タ-の回転によって加速する方法を取った。模型は正方形角柱で、二次元実験として設置した場合の上流側上下端にロ-タ-を取り付け、接近流速に対してどの程度のロ-タ-回転速度を与えれば、流体力が変化するかを見た。静的空気力係数と変動空気力係数を各迎角に対して上下のロ-タ-の回転速度を変えて測定した。その結果、静的空気力係数は、迎角が-10°〜+10°の範囲では、どのような迎角に対しても上下のロ-タ-の回転速度を最適に設定することによって、ほぼ零にすることができる。また、動的な挙動に最も関連が深い変動空気力も、ロ-タ-を回転させない場合の1/8にも減少することになる。このことを踏まえて、二次元実験での動的挙動への効果の測定を行なう。さらに、超高層ビルの動的な問題、長大橋梁の主塔の制振への応用を考えた研究へと発展させるための三次元的な模型による検討を行なう予定である。
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