研究概要 |
平成元年度には過去の解体工事例の調査ならびにその効率的な施工計画に関する考察を行った。平成2年度には静的破砕剤を応用した解体工法の問題点について,特に効率的な解体を行う場合の破砕剤注入孔の配置や孔径,破砕圧力に関する実験的検討を行ってきた。 本年度は破砕剤を注入しコンクリ-ト構造物に任意の方向へひびわれを誘導する工法の開発とその効果を実験的に確認した。その方法として,まず,ボ-リング孔堀削と同時に孔内にひびわれ誘導用ノッチを施工できる機械の開発を行った。この時,ノッチの施工は両側に3〜5mmの突起を設けた中空リングを堀削ビット後方のドリル回転軸に取り付け,これを打撃することによって一定の方向にノッチを作るものである。 ノッチ付ボ-リング孔のひびわれ誘導性や破砕時の圧力低減効果等を調べるため,最大2.9×1.9×0.7mのコンクリ-ト直方供試体を12体作製し破砕実験を実施した。その結果以下の知見を得た。 (1)従来の円形ボ-リング孔では3方向へのひびわれを生じるが,ノッチ付ボ-リング孔では孔間隔Lに対し,自由面までの距離が3L/4以上であれば一方向に誘導ひびわれが得られる。 (2)ノッチ深さ3mmと5mmとでは破砕時間および破砕圧力に大差なく,一般的には3mm程度のノッチでひびわれ誘導が可能である。 (3)ノッチ付ボ-リング孔に破砕剤を注入した場合,円形ボ-リング孔を用いた場合に比べ約30%程度圧力,時間共に小さい値となった。 (4)ビット付ボ-リング孔の掘削時間は円形に比べ4割程度長くなり,またその騒音低減についても今後の課題である。
|