研究概要 |
本研究では,まず初年度に,従来用いられてきた種々の解体工法について,その施工法および特徴を調査すると共に,実際に解体工事の資料収集を行った.これらの資料を基に,工事例の比較設計を通じて効率的な施工方法に関する設計方法のフロー化を行ない,また,静的破砕剤を用いた工法の解体法に於ける位置付けを検討した. その結果,構造部材などに対しては油圧を用いた種々の圧砕工法が騒音対策も含めて有効と考えられるが,作業環境に問題がない場合には衝撃による破砕工法が効率的であること,これらの工法は基礎構造物など比較的寸法の大きいマス状コンクリートの解体には不向きであることなどが分かった. そこで,次年度には,マス状コンクリートの無騒音・無振動・無飛散解体に静的破砕剤を用いた工法の適用を考えた. 静的破砕剤の適用に当たって,まず,膨張圧の発現特性と配合,温度,拘束度などの諸要因との関係を調べ,膨張圧とコンクリートの破砕条件について検討した.それらの結果を用いて破砕孔間隔の設計や鉄筋コンクリート部材の効果的解体法についての考察を行った. 最終年度では,静的破砕剤を各種の鉄筋コンクリート部材の解体に用いる場合の問題や,破砕ひびわれの誘導方法,鉄筋コンクリート部材の局部破砕への使用方法などについて実験的検討を行った.破砕用ボーリング孔に数ミリのノッチを設ければひび割れ方向の制御が可能なこと,部材表面に設けたカッター溝の1つおきに破砕を注入すればかぶりコンクリートの除去が可能であること,部材解体法で局部破砕を行う場合には破砕孔とカッター孔を組み合わせひびわれ位置を限定することが効果的であることなどの結論を得た.
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