研究分担者 |
荻迫 栄治 清水建設(株), 土木本部, 九州大学研究員
梅崎 健夫 九州大学, 工学部, 助手 (50193933)
大谷 順 九州大学, 工学部, 助手 (30203821)
林 重徳 九州大学, 工学部, 助教授 (80112308)
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研究概要 |
近年、土中にグリッド状の補強材を敷設して盛土や地盤を補強する工法が急速に発展し,多方面の応用が試みられているが,その補強効果を的確に評価した設計法は確立されていない現状にある。本研究は,土中において引張り力を受けるジオグリッドの補強メカニズムの解明と補強効果の評価法の開発を行い,補強土擁壁に適用して,その実用的な設計法を確立することを目的とした。まず,相対密度を変化させた土中に敷設したジオグリッドの引抜き試験を行い,グリッドと土相互作用特性について検討し,土中における引抜き抵抗の発現過程を明らかにした。次いで,その特性を有限要素法による変形解析に導入するために,ジオグリッドの補強土機構のモデル化をを行い,その補強土効果を評価するための解析法を開発した。さらに,本法を補強土擁壁に適用し,裏込めおよび基礎地盤の特性を考慮に入れた簡便な図表を用いる実用的な設計法を提示した。 主な結論は以下のように要約される。 1)土中で引抜き力を受けるジオグリッドのひずみ状態は一様でなく、グリッドに生じる抵抗力の分布も一様にならない。従って、引抜き抵抗力の変位依村性を考慮した補強土機構のモデル化が必要である。 2)特定の不連続面を表すジョイント要素のせん断剛性に上記特性を組み込むことにより,補強土効果を解析的に十分な精度で評価できた。 3)上述した解析法を導入した有限要法により,ジオグリッド補強土擁壁について,裏込め土特性,グリッドの敷設長,および施設間隔を変化させて解析を行い,補強土効果を定量的に評価した。 4)擁壁高さ,ジオグリッドの施設長と補強土効果との関係から,設計のためのパラメ-タとして壁面の最大水平変位,基礎地盤の最大沈下量,基礎地盤内鉛直応力,およびジオグリッドに発生する最大張力を用いることが適当であることを示した。 5)ジオグリッド補強土擁壁の実用的な設計のために,上述したパラメ-タとジオグリッドの施設条件(施設長,施設間隔)および擁壁高さの関係を示す図表を作成した。 6)5)の図表を用いた設計手順と方法を提案し,従来の設計法との比較を行い,その有用性を検証した。
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