研究概要 |
都市化の進行は,水を媒介とした自然の営みに著しい影響を与えてきた。この結果水環境を激しく変えてしまい,例えば,都市における水空間の減少が新たな水害を発生させている。都市の文化的な生活を維持しつつ,これらの気候,水害の調整をするように自然の水循環の復元,都市域の水辺空間の創出と再生利用が注目されている。 1)多摩川における高水敷開放の地域への効果,歴史的変遷を調査し,また現状の整備が利用者にとってどの様に受け取られているかをアンケ-ト調査をする事により把握した。 自然河川の様相を多く残している多摩川上流,中流域では,豊かな環境が、都市化によって無くなった緑地の代わりとして流域住民に利用されている。下流域ではリクレ-ションの質の変化により水辺のみではなく,水面がモ-タ-ボ-トのために利用され,今後多くの問題が予想される。自然河川の整備では当然その機能を活かした整備の方法が最も優れていると思われる。多摩川流域の都市化の進展と共に変化してきた役割を見直し,高水敷利用を契機とした住民の川との付き合い方の新しいスタイルの方向を模索するための資料を整理した。 2)緩傾斜型ス-パ-堤防の導入により隅田川の景観は一新しつつある。人工的な景観は歴史に醸された隅田川の景観を新しいものに変えてしまっている。都市化の中で取り残された運輸と洪水対策のみの河川は周囲の景観とミスマッチになってしまってきた。しかし都市化の以前に有していた,歴史に醸された落ち着きをもう一度見直す必要がある。都市化によって作られた景観を前提の河川整備に住民がどの様な要望を有しているかをアンケ-ト調査によって検討した。
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