1.持続荷重下の挙動について (1)付着応力(τ)ーすべり(s)関係:持続載荷開始後1日間に付着クリ-プによりその剛性は大きく変化した。その後の剛性の低下はなく、既に提案しているτーsモデルの妥当性を評価できた。(2)固定部からの鉄筋の抜け出しによる付加たわみ:片持梁において付加たわみは、曲げ応力によるたわみの約4倍と大きく、鉄筋の抜け出しは(1)のτーsモデルを用いた付着解析によって算定することが出来た。(3)載荷時期の影響:載荷開始時期が遅くなるとプレストレスの損失により初期ひびわれ幅は増大し、載荷時期の早い場合の長期ひびわれ幅より大きくなる。一方たわみは載荷時期が早いと圧縮側コンクリ-トのクリ-プ・乾燥収縮変形によって載荷時期が遅い場合より長期たわみは大きくなる。(4)びわれ幅やたわみの算定:クリ-プ解析等によって精度よく算定できた。広く用いられているACI Codeの長期たわみ算定式は、クリ-プ・乾燥収縮量に変動がある場合は、適合性に限界がある。 2.繰返し荷重下の挙動について 鉄筋コンクリ-ト(以下RCと略記)およびPRCはりに、2つの荷重レベルにおいて各20回ないし20万回の繰返し載荷を行い、次のような結界が得られた。(1)20回の繰返し荷重によるたわみ等の増大は初めの5回のうちにその95%が生じた。(2)RC梁での鉄筋応力が1000及び2000kg/cm^2に対応する荷重3および6tonにおける20万回の繰返し載荷の結果、3tonでは2〜3回の繰返し以後のたわみやひびわれ幅の増加は極めて少なかった。6tonでは片対数のグラフ上を直線的に増大した。(3)繰返しによる変形等の増大は、鉄筋とコンクリ-ト間の付着応力の緩和と、圧縮側コンクリ-トの繰返しによるひずみの増大に起因する。
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