研究概要 |
本年度は,三年間の研究実施計画の二年目にあたり,各研究項目について着実な成果が得られたので,以下にその概要を列記する。 <1.浮力を伴う乱流モデルの検討>___ー 浮力を伴うガスを用いた模型室トレ-サ-実験を行い,数値計算結果との比較に基づき浮力を伴う乱流モデルのあり方に検討を加えた。その結果、不安定条件の水平気流では乱流エネルギ-散逸方程式中の浮力生産項に,せん断応力生産項と同様の重み付けを用いた場合は実験結果とよく対応する解が得られるが,浮力生産項を無視すると乱流エネルギ-の爆発的増加による乱流拡散効果の過大評価が原因で実験結果から大きく逸脱することが分かった(未発表)。 <2.壁面境界条件の検討>___ー 鉛直加熱平板乱流境界層を対象に3種類の壁面境界条件を用いた数値実験を行い,新開発のk依存改良型(研究発表の項の文献参照:武政1900a)が,最も差分の分割による影響が小さく既往の実験結果とも良好に対応することが分かった。 <3.差分meshの局所的分割法>___ー 前年度に二次元条件での妥当性の検証を終えたMultiーMesh法を三次元に拡張し(倉渕1990a),複雑な吹き出しを有する室内気流に適用可能であることを確かめ(倉渕1990b),更に通風時の建物内外気流の同時解析を試み(創渕1990c),通風問題の解明に数値解析法が有力であることを見いだした(倉渕1990c)。以上の成果を取りまとめて発表した(kurabuchi 1991)。 <4.実大室の空調問題>___ー 暖冷房を想定した実大模擬居室を対象に,空間温度,壁面温度・熱流に関する実験を行い,2で開発した壁面境界条件による数値計算結果との比較を行った。その結果、壁面温度を規定する境界条件を用いても既往の熱流境界条件と同等の数値予測が可能であり,対流熱伝達率の部位別変化等,これまでの計算では得られなかった有益な情報が計算予測可能であることを確かめた(武政1990b)。
|