室内空気環境試験室に高密度でオキュパント(在室者)を在室させることによって、体臭が主な空気汚染源と考えられる空間を設定し、その空間の空気質を100名を越えるパネル(判定者)に申告させ、パネルの感覚申告の結果と物理・化学量(CO、CO_2濃度、粉塵濃度、換気量)との相関を求めた。その結果、CO_2濃度が体臭による不快度を予測するための良い指標となることがわかった。また、パネルの不快者率と在室者一人当たりの換気量との関係を求め、一人当り7.11/sの換気量が、米国冷凍空調学会の定める許容基準である不快者率20%に相当することがわかった。ここで求めた不快者率と換気量の関係から、人間の体臭を基にした基覚空気汚染源強度の単位(オルフ)と、知覚空気汚染度の単位(デシポル)について考察し、日本人についての適用を試みた。デンマ-ク工科大学のFanger教授らがデンマ-ク人の在室者・判定者を用いて求めた、知覚空気汚染度(デシポル)と不快者率との関数と、今回の日本人の在室者・判定者を用いた実験結果から得られたデシポルと不快者率との関係には非常に接近した関係がみられた。また、当該年度に購入したガスサンプラ-機器により、SF_6をトレ-サ-ガスとして用い、人間が在室している空間の正確な換気量及び換気効率の測定が可能になったので、オキュパントが在室している空気環境実験室の空気汚染分布をSF_6濃度、パネルによる感覚申告の両面から測定し、換気効率を考察した。今後、省エネルギ-の観点から、換気効率と室内空気質のバランスを解析してゆく予定である。
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