室内の換気効率と知覚空気汚染度分布を評価するため、パネル(空気質判定者)の申告する各測定点の知覚空気汚染度(decipol値)と、トレ-サ-ガス(SF_6)を用いて測定した各測定点の空気齢(Age of air)との比較を行った。その際用いたパネルは、アセトンの参照ガスを用いて室内空気質をdecipol値で申告できれうよう訓練したパネル(Trained panel)であった。この訓練パネルに、タバコ煙によって汚染された室内の各測定点の空気汚染度を申告させる実験を行い、以下の結果を得た。 1)日本人大学生の空気汚染に関する申告結果より、アセトンガス濃度と知覚空気汚染度の単位としてFangerが提案したdecipolとの関係を求めた。 2)訓練パネルと参照ガスを用いることによって、知覚空気汚染度を表すことが可能であることを示し、換気回数の異なる4種の実験から訓練パネルを用いて室内の知覚空気汚染度の分布を示した。 3)トレ-サ-ガス(SF_6)を用いて空気齢(Ageーofーair)を求め、各測定点の空気齢の違いから換気効果を評価した。その結果、換気回数が多いときにはリタンファン前の測定点の空気齢が小さく、サプライファンからリタンファンへのバイパス流が生じていると思われる。換気回数が少ないとき局所空気齢は、各測定点での相違がほとんどなかった。 4)訓練パネルの申告結果から半減時間(HalfーLifeーtime)を用いて知覚空気汚染度の減衰の度合いを4種の換気条件について比較した。換気回数が多いときにはサプライファンからリタンファンへのバイパス流が生じることが、訓練パネルの申告結果からも推定された。 5)4.5回/時の換気回数のタイプBでは、吹き出し空気が上昇する傾向があり、高さの低いリタンファン前の測定点における空気齢・知覚空気汚染度の半減時間は他の測定点に比べ大きくなった。 6)知覚空気汚染度(decipol値)の半減時間と空気齢との比較を行い、この二つの指標に良い相関があることがわかった(図ー19〜図ー21)。
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