タバコ煙による空気汚染源の除去効率をCO濃度及び知覚空気汚染度(decipol)より算定するため、完全混合状態における訓練パネル(空気質判定者)の申告する各測定点の知覚空気汚染度とCO濃度を測定し、これを完全混合ではない状態において測定したものと比較した。実験室の換気方式は、側壁下部吹き出し・側壁上部吸い込み(タイプA)、天井吹き出し・天井吸い込み(タイプB)、側壁上部吹き出し・側壁下部吸い込み(タイプC)の3種類であり、それぞれの実験タイプのもと4段階の換気回数(8、10、12、14回/時)を設定した。また、撹拌用ファンを稼動させた完全混合状態(セッションI)、ファンを停止した不完全混合状態(セッションII)をつくりだした。訓練パネルは、室内にいるスモ-カ-によって発生されるタバコ煙によって汚染された室内の4箇所の測定点の空気を誘引チュ-ブを通して嗅ぎ、トレ-サガス(SF_6)を用いて各測定点の空気齢も算出した。以下にこの実験の結果を示す。 1)トレ-サ-ガスを用いて空気齢を求めた結果、どの実験タイプにおいても、換気回数の変化にかかわらず、室平均空気齢は換気時定数(完全混合下の換気回数の逆数)とほぼ等しかった。各測定点の局所空気齢はどれも室平均空気齢よりも大きく、その換気効率は全実験を通してほぼ60〜70%であった。本実験で設けた4つの測定点における換気効果は室全体における平均値以下であったといえる。 2)知覚空気汚染物質に対する除去効率とCOに対する除去効率を、各実験について求めた結果、どの実験タイプにおいても、除去効率は換気量が変化とともに変化することがわかった。そこで、換気量の変化による除去効率の変化を考慮した必要換気量の算定法を提案した。
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