1.研究成果としての住宅集積パタ-ンの可能性 2年間にわたる助成研究を通じて得られた最大の成果は、住宅集積パタ-ンを開発できたことである。その内容は次の3点である。(1)居住地を、単一エレメントの住宅集積パタ-ンで表現できる地域と、モザイク型住宅集積パタ-ンで表現できる地域とに二分することができた。(2)住宅集積パタ-ンには、複数の地域で現われる一般的なものと、他地区にまたがるような共通性が現われないものとがあった。これは、パタ-ンを構成する要素である各住宅型の混合比(モザイクの粒度)が一様でなかったためと考えられる。(3)今回の研究は京都市の場合だけに限定されるものであるが、住宅集積パタ-ンをより厳密にモデル化することができれば、地区の1/2500の市街地図と市街地形成過程の概略を組み合わせるだけで地区に存在するほとんどの住宅ストックの住宅型を判別することが可能になるという仮説が見出される。次段階の研究でこのことを実証できれば、居住地特性の基本的な部分は現地観察調査に赴く前の段階で把握することが可能になるものと考えられる。 2.住宅集積パタ-ンの問題点と今後の研究課題 (1)現時点では、定性的分析が中心となっているが、住宅集積パタ-ンを形成する住宅「群」の定義に対してより客観的な規則性を持たせることによって、定量的デ-タ解析を可能にする必要がある。たとえば、住宅統計調査のデ-タを独自集計することによって、住宅集積パタ-ンに合致した類型を開発することが有効である。 (2)住宅集積パタ-ンにおける要素の混合比(モザイクの粒度)の多様性を表現できるモデルに改良することが必要である。
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