研究概要 |
MMCの製法として生産性が高く、能率のよい固相接合法を用いて超塑性マトリックスMMCを製造する方法と超塑性機能を利用した2次加工性(曲げ加工及び深絞り加工)について研究を行った成果について述べる。 1)ホットプレス法によるMMCの製造法 一般に固相法であるホットプレス法では強化繊維の損傷等のため,また液相法では高温のため界面反応が生じ健全な界面を有するMMCは作りにくい。本研究では超塑性材の低変形低抗と拡散接合性を利用して,低荷重,低温(70MPa,530℃)におけるMMCの製法を開発した。さらに強度及び延性を引張試験によって求めROM値に近い値を得た。 2)超塑性マトリックスMMCの曲げ加工特性 SiC及びB連続繊維を強化材とした超塑性アルミ合金(SPA)及び亜鉛合金(SPZ)の曲げ性を調べた。曲げ加工限界は繊維単体の最小曲げ半径であるR=6mmまで可能で繊維はマトリックス中を移動でき,せん断応力は受けないことが明らかとなった。スプリングバック及び曲げ後の強度向上のためには超塑性マトリックスは有害であることを示した。 3)超塑性マトリックスMMCの深絞り及び張出し加工 粒子またはウイス力強化MMCの引張りまたは圧縮変形中のキャビティ-発生状況を密度法により調べた。単軸引張り又は二軸引張りにおけるキャビティ-の発生は著しいが圧縮では発生しない。このMMCを深絞り及び張出し成形してその成形限界を調べた結果,しわなしで絞れる限界絞り比は2.1(Vf=10%)1.9(Vf=20%)で市販のアルミニウム板程度の絞り性が得られた。キャビティ-の発生,成長が加工限界を律する条件であることを明らかにした。キャビティ-の発生を抑制するためには,静水圧力を付加することが効果的であり,対向圧を加える方法が有効である。
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