研究課題/領域番号 |
01460221
|
研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
長谷川 正 東京農工大学, 工学部, 教授 (50005328)
|
研究分担者 |
八高 隆雄 横浜国立大学, 教育学部, 助教授 (40111637)
|
キーワード | メカニカル・アロイング / アルミニウム合金 / 加工硬化 / 粒子分散強化 / 高温強度 / クリ-プ強度 / 静的回復 / 動的回復 |
研究概要 |
メカニカル・アロイング(MA)法によって作製したアルミニウム合金の高強度がどのような組織学的因子に起因するのかを明らかにするため、各種のMAアルミニウム合金についてその応力-ひずみ挙動とクリ-プ挙動を調べるとともに、TEMおよびSEMを用いた解析を行なった。現時点で以下のような結果と結論を得ている。 (1)MA過程に形成される微細な粒子(Alの酸化物と炭化物)の均一分散は、MA中に転位を蓄えるのに極めて有効であり、MA合金は強く加工硬化された状態にある。また、転位は微細粒子によってピン止めされた、安定化された状態にあり、したがってMA合金は静的回復に対して大きな抵抗を示す。 (2)MA合金の降伏強度は、転位の微細粒子がうらの離脱応力によって支配される。この応力は低温(<〜423K)ではオロワン応力にほぼ等しく、高温では温度上昇とともに低下する。すなわち、高温応力下での動的回復は、静的回復の場合ほど有効には微細粒子の分散によって抑えられず、したがってMA合金は高温で加工軟化を示す。 (3)MA合金のクリ-プ挙動は、クリ-プ応力が転位の微細粒子からの離脱応力より高いか低いかに大きく依存する。 高い場合には離脱後の転位の運動と消滅が変形を律速していると考えられるのに対し、低い場合には、変形は主として粒界すべりによって起こる。 (4)MA合金の引張変形時の破断伸びは、通常の変形速度(〜10^<-4>/S)の下では温度の上昇とともに低下する(室温で〜10%、773Kで〜1%)。これは、高温の場合ほど局所的な加工軟化による朔性不安定が起こりやすいためと理解される。しかし、変形速度を10°/Sまで大きくすると、破断伸びが数10%まで上昇することが確かめられた。このことは、MA合金の高速超朔性発現の可能性を示唆する。
|