研究概要 |
パルスレ-ザ-光をタ-ゲッド金属に、それぞれ大気、窒素ガス、アンモニア50%+窒素50%の混合ガスの中で照射し、基板上に窒化物薄膜および酸化物薄膜を作成した。レ-ザ-のパワ-密度は10^<10>w/cm^2,パルス幅は10^<-9>secであり、タ-ゲット金属としてAl,Ti,Zr,Feを用いた。作製した薄膜の構造を透過型電子顕微鏡により観察し、制限視野回析法により薄膜中の構成相の同定を試みた。その結果、いずれの薄膜も20nm程度の超微粒子が重なりあった構造であることが明らかとなった。 タ-ゲット金属がAl,Ti,Zrの場合、雰囲気ガスによる窒化物および酸化物の生成傾向はほぼ同じである。Feの場合、いずれの雰囲気ガスを用いた場合にも混入している酸素との反応によりFe_3O_4が生成するが、γーFeが形成される場合もある。Al,Ti,Zrタ-ゲットの場合、AlN,TiO_2,TiN,ZrO_2,ZrNがそれぞれ形成される。本研究で得られた薄膜を構成する粒子は、20nm程度の超微粒子であるが、一般にこの程度の超微粒子を得るには、数torr程度の低左下で金属を蒸発させることが必要である。しかし本実験における雰囲気ガス圧は全て1atmであり、しかも粒径は雰囲気ガス、金属種によらず一定である。雰囲気ガスの熱伝導率は、アンモニヤ窒素ガスの混合雰囲気の場合アンモニヤの分解によって生じる水素ガスのそれが他を左して大きいが、その冷却効果によって粒径がさらに小さくなることもなかった。このことは、レ-ザ-照射による反応が極めて局所的であり、冷却速度も10^<10>K/secと極めて大きいことによると考えられる。以上の実験結果と平成元年度の成果を合わせレ-ザ-照射下における薄膜形成のメカニズムを明らかにした。
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