当初治具、ロボット等の周辺機器の簡易化をはかるための形状モデルとしてCADのB-repを利用したが余りにも計算機に対する負担が重く、また位相構造操作の点で現在のB-repは充分な機能をもっていないことが検証された。そこでこれに代る新しい形状モデルとして外部境界をベクトルで表現し、その方向コ-ドを利用して形状の特徴を抽出したり、簡単に位相操作が行なえるリスト表現に基礎をおいたモデルを開発した。この形状モデルでは形状がリスト表現されるため、各形状に対して属性を付与しやすく、形状操作と属性操作の対応が容易にとれる利点がある。またこの方法は並列処理化が容易であり、また並列処理化により推論の速度の向上、高度の推論機構の開発ができることをいくつかの例題により検証した。これらの例題は橋りょう、造船、産業機械において代表的な桁構造物であり、構造設計を変更することにより治具の簡易化がはかれ、また低級ロボットの使用ができることを示した。 本研究の最大の成果はこの形状モデルの開発であり、この形状モデル導入により数値を介することなく、定性的な議論を直接処理できるようになった。従来の方法では数値を基礎としていたため並列処理化も数値演算のみが対象となったが、このモデル化においては並列処理化が推論機構の高度化に役立っている。このため詳細設計よりも予備設計において有用であり、製品が多様化、複雑化するとできるだけ上流側で情報を処理したいとの要望が強くなるが、その要望に充分応えるシステムに発展できる可能性が大きい。
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