研究概要 |
抗血栓性の良好な各種のポリジメチルシロキサン含有セグメント化ポリウレタン(SPU)並びにそのモデル重合体を調整し、それらの構造と物性に関する解析を行った。この一連の試料のソフトセグメントは、ポリテトラメチレングリコ-ル(PTMG)とポリエチレンオキサイドーポリジメチルシロキサン(PES)から成り、ハ-ドセグメントは4,4'ージフェニルメタンジイソシアネ-ト(MDI)ーエチレングリコ-ル(EG)連鎖より構成されている。ここでは、PTMG分子量の相違ならびにPES成分の有無について検討を行い、以下の結果を得た。 (1)延化によるハ-ドセグメントの負配向がなく、これはハ-ドセグメントドメインの凝集力が低いために、延伸初期段階からハ-ドセグメントが破壊されるためである。 (2)力学および熱的性質はソフトセグメント分子量が大きくなるに従い、ミクロ相分離構造が発達していく。 (3)ソフトセグメント中のPES成分はPTMGの結晶性を低下させるが、ハ-ドおよびソフトセグメント間の相分離を促進させる。 (4)小角X線散乱実験により、ソフトセグメントドメインは強い析出力をもつミクロ相分離したブロック共重合体に適用される3分の2乗則に従うことが解った。ハ-ドセグメントドメインサイズはソフトセグメント分子量に依存せず約70Åであり、その大きさは、ほぼMDIーEGの4単位に相当する。 (5)シロキサン含有SPUと無含有SPUをブレンドすると、シロキサン含有SPUが表面に優先的に折出してくる。これは個々の高分子鎖よりもずっと大きいミクロンオ-ダ-での表面選択性であり、この結果は、凝固過程で基質または空気表面側と溶液中のシロキサン含有SPUとの間に強い相互作用が存在しているためである。
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