研究概要 |
現地実験と室内風洞実験により片面燃焼の実態と片面燃焼を利用した火災時における風速の推定が可能になりつつある。 1)室内風洞実験により、風上側,風下側からの燃焼・延焼にかかわらず、片面燃焼はその時の風向に左右されて起こることが確認され、片面燃焼によりその時の風向を推定することが可能であることがわかった。 2)室内実験により、片面燃焼を利用した風速推定式を作成した。すなわち、片面燃焼の最大高と最小高の差と、最大高と最小高との比の積をHとすれば、このHを樹木の直径Dで割った値は、風速,直径,空気の動粘性係数の関数で表わされることがわかった. 3)山口県秋吉台の現地実験において、稜線付近で主風の影響のみによって片面燃焼が発生している実験杭に推定式を適用すると、風速の実測値とよく一致し、式の適合性が認められた. 4)そこで、この推定式を適用して、実験地内の風速分布を求め、観測された燃焼速度分布と対照した結果、斜面燃え上がりの時は燃焼速度は風速に比例して増加し、燃え下がりの場合に風速に無関係に一定速度であることがわかった. 5)福岡県平尾台での実験結果も同様の現象を示し、斜面での風向は主風向と関係なく傾斜方向に近似し、風速は斜面勾配に比例することがわかった。以上の成果は今年4月の林学会大会において発表すると共に、学会誌に発表予定である。 6)林野火災の燃焼程度をランドサットデ-タから分類する手法について検討し、日本リモ-トセンシング学会誌に掲載すると共に、その手法を用いて火災跡地の植生回復の状況について学会誌に投稿中である。 7)ギリシアの林野火災発生に関する自然的・社会的条件を解明すると共に、林野火災が水土流出に及ぼす影響について投稿中である。
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