第2年度は埋没材の研究のみならず、チタン鋳造体のコントロ-ルまでを含めた研究体系へ発展させた。これは超高温埋没材の開発の目的が最終的に、すぐれた鋳造チタン修復物を得ることにあるからである。即ち、チタンのセラミックスとの反応性、ガスとの反応性という最も基本的な視点を得た結果、この観点を(1)埋没材の改良開発への還元、(2)チタン自体の特性改善への応用、さらに(3)新素材開発上のコンセプトへの応用等に適用した。 (1)埋没材の改良開発 カルシア添加量依存性を調べ、強度、寸法適合性、耐焼付性等の観点から、最適カルシア及び添加量を示した。インレ-、クラウン、全部床の最適寸法適合性を得るための埋没材の構成及び使用方法を調べた。 (2)チタン特性の改善 チタンの現在のほぼ唯一の欠点は義歯床、クラスプとしての強度、弾性率が不十分な点にあり、これを克服する方法として合金化等は考えられるが熱処理は試みられていなかった。一般のシリカ基埋没材と異なり、ジルコニア基埋没材使用では焼付、酸化の無いチタン鋳造体を得ることができるため、鋳造後、熱処理を施して特性を変えることができる。酸素の固溶強化を利用したチタン強化のための2段熱処理を開発し、金属床などの1mm厚程度までの強化法や表面のみの硬化処理コントロ-ル法を開発した。酸素による強化を終え、現在炭素による強化法の研究に継続している。 (3)新素材の開発上のコンセプト 生体組織に密着して用いられる、人工生体材料、インプラント材としてチタン/アパタイト複合焼結体、鋳造体、傾斜機能性材料の作製を試み、生型硬化、焼結促進、酸化抑制、還元促進などに応用し、部分的に試験体が作製されつつある。
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