研究概要 |
本研究は、短波長帯、高効率、高出力発振管として、世界各国で注目を集めている自己共鳴形ペニオトロン発振管の基礎的な実験研究に関するものである。本年度は、その最終年度にあたり、試作管での実験を中心に、下記項目の研究計画に基づき研究を行った。 1.マグネトロン構造実験管の試作と実験系の整備 2.同上実験管の動作実験 3.4重極回路実験管の最適構造設計と試作 4.同上実験管の動作実験 上記項目に関し、現在までに行った研究実績を以下に略述する。 1.現有電源整備(30KV,1A)を用いて、自己共鳴ペニオトロン動作を実験的に検討する目的で、マグネトロ構造共振器を有する実験管の最適設計を行い、発振周波数10GHz,動作効率90%を目標値とした実験管の試作を行った。 2.同上実験管での動作実験を行い、マグネトロン構造共振器のいくつかの縦モ-ドで、出力数KWのほぼ設計値通りの発振を確認した。この時の最大動作効率は、前進波モ-ドで72%,後進波モ-ドで50%であった。これらの値は、設計した理論効率には達らなかったが、現在までに報告されたサイクロトロン高速波管での最高効率であり、自己共鳴ペニオトロンの高効率性は実証された。 3.自己共鳴ペニオトロンの新たな回路方式として、4重極回路を本年度の研究計画に加えることとし、その最適構造設計、試作を行った。 4.同上実験管での動作実験を行い、後進波モ-ドによるほぼ設計値通りの発振を得たが、実験管に使用した4重極共振器のQ値が低かったため、高効率動作は得られなかった。今後、共振回路の再検討により自己共鳴ペニオトロンの高効率動作は実証できると思われる。
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