高密度二種イオン系の多粒子相関・状態方程式・相構造について、HNC型積分方程式の解と計算機シミュレ-ションの両手段を用いて解明を進めた。強結合効果を表わすブリッジ関数については、一成分イオン系で既に得られている正確な解析表式を、イオン球模型に基づくスケ-リング則(長さ、エネルギ-)を使い多種イオン系に拡張した。相関を表わす静的構造因子、状態方程式に関する線型結合則からのずれなどについて、有用な知見が得られた。 高密度ヘリウムー炭素混合プラズマの内部状態と核反応率について解析を進めた。これは白色矮星や中性子星の表層におけるヘリウムの物性・素過程に関わる関題である。イオン間多体相関効果を計算機シミュレ-ションに基づく遮蔽関数で正確に表現し、相対論的縮退電子の遮蔽効果を取り入れ、混合系でのヘリウムの核反応率理論を構築した。また、核反応率から計算される熱生成率と熱伝導度との比較から、ヘリウムの点火曲線を求めた。 金属水素の内部状態と熱力学関数について研究を進め、電子イオン間強相関効果を表わす“Rydberg状態"を組み込んだ正確な解析表式を導出した。これを用いて、水素ー重水素およびリチウムー水素混合系超高圧金属中の核融合理論を構築し、超高圧液体金属中で核反応率の大幅な増大が期待できることを示した。
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