研究概要 |
以下の研究課題について着実な進展があり,有意義な成果があった. 1.多種イオンプラズマの状態方程式と相図 様々な電荷比,組成比をもった二種および三種混合プラズマについてその相関特性(熱力学関数,相関関数,合金構造の安定性など)を計算機実験および積分方程式理論を用いて解析した.液相および固相にある混合プラズマの状態方程式は電荷比および組成比の関数として模式化され,結晶化や相分離を含めた総合的な相図の計算が可能となった.白色矮星の内部状態に対応したプラズマ(CーFe,CーNeーFe)についてその相図を計算し,星の内部構造や冷却過程に対する相変化の影響を検討した. 2.高密度プラズマ中の核融合反応 天体高密度プラズマ(縮退星内部・表層・太陽内部),実験室高密度プラズマ(衝撃圧縮,金属中水素,超高圧金属)中の核融合反応率を,二体過程,電子遮蔽冷核過程,多体増倍効果に分け,見通しよく評価・検討し,原著論文および総説にまとめた.低い物質降着率をもった中性子星表層などで実現される高密度・低温領域では従来の熱核融合反応過程とは異なり,1)ク-ロン強結合効果によるHe原子核からBe原子格への自発的相転移や2)一連の電子捕獲反応,を通じてヘリウムが効率良く燃焼する可能性を指摘した. 3.量子ク-ロン固体の状態方程式 クロ-ン固体の自由エネルギ-について径路積分表示に基づく量子モンテカルロ計算を行なった.数値結果と準古典および絶対零度での既知の結果を組み合せ,全温度・密度領域にわたって正確な状態方程式を導いた.その応用として融解曲線に対する量子効果や非調和振動効果を調べた. 4.スピン密度汎関数法によるヘリウム原子基底状態の解析 密度汎関数法に基づき,交換・相関エネルギ-汎関数に対するスピン依存性および非局所密度依存性を取り入れ,かつ自己相互作用を含まない形の計算手法を定式化し,ヘリウム原子基底状態の解析からその有効性を確かめた。
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