研究概要 |
情報処理の入門教育には,汎用大型計算機のTSS環境下で行われることが多いが,利用者数の増加によるレスポンスの低下が著しい。これに対処する方法として,多数の計算機を接続した分散処理環境の利用が考えられる。本研究では,分散処理環境を情報処理教育に適用する場合の問題点を考察し,構成方法を提案することを目的としており,今年度においては,以下の成果が得られた。 1.ワ-クステ-ションを多数接続した分散処理環境を構成する場合には,経済的な理由から,ディスクレス機を使用することが多い。そこで,具体的な構成方法を検討するために,クライアントの台数,クライアントの主記憶容量,及び,ロ-カルなスワップ領域の有無をパラメタとして,レスポンスやネットワ-クのトラフィックを測定した。この実験より,ディスクレス機を使用する場合には,トラフィック量やレスポンスに支障をきたさないためには,ある程度以上の主記憶容量が必要であり,ロ-カルなスワップ領域の有無よりも大きな影響を与えるという結果が得られた. 2.昨年度に開発を行った初心者用エディタにコマンドの使用履歴を収集する機能を組み込み,実際に学生に使用してもらうことによって,コマンドの使用頻度や順序の解析を行った。この結果は,初心者に十分な機能を提供する計算機の負荷とならないエディタの仕様を決定するのに役立つものである. 3.パ-ソナルコンピュ-タをUNIXの端末としても使用する場合,ユ-ザインタフェ-スとして重要なグラフィクス表示は,一般に利用できない。そこで,パ-ソナルコンピュ-タ上に,UNIXで標準的にサポ-トされているグラフィックディスプレイのエミュレ-ションを行うソフトウェアを開発した。
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