研究概要 |
本研究では書家と同等の指導能力を有した書道CAIシステムの構築を目的とし、本年度は以下に述べる成果を得た。 <1.教材知識の記述>___ー 書道CAIシステムにおいて、学習法の文字の問題点を正しく指摘するためには、美しく整った文字を書くための規則(書写規則)をシステムが蓄えている必要がある。本研究ではこの書写規則を記述するために、規則を構成する要素を抽出しその要素を組み合わせて規則を記述する手法を提案した。本研究ではこの要素を書写プリミティブと呼ぶ。このプリミティブにはストロ-ク間の関係で角度,位置,長さ,間隔,接続関係,曲がりの6種類を用いる。 <2.学習者モデルおよび指導戦略>___ー 学習モデルは学習者の理解の状態を表し、システムが助言を与えたり、次の課題を与える戦略を生成するときに用いられる。 書写規則と学習者の文字から得られた規則を比較すると、(1)手本文字にも学習者の文字にも存在する規則で学習者が正しく理解していると考えられる規則、(2)書写規則として存在しないが学習者の文字に存在する規則、(3)書写規則として存在するが学習者の文字には存在しない規則である。学習者モデルは(1)〜(3)の規則の集合関係で表す。 効率よい指導を行うためには、全ての規則を一度に学習するのではなく一部の規則に集中して訓練を行うのが良いとされている。本研究では、練習目標の設定,目標に沿った添削指導といった効率的な指導を行う指導戦略を先に述べた学習モデルを用いて生成する手法を提案した。
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