国際磁気圏観測計画(IMS)を中心とする期間(1977ー1979年)に、北米と北欧で高時間分解能(10秒)多点地磁気観測が行われた。このうち北米IMSデ-タは、アメリカの世界資料センタ-(WDCーA for STP)から公開されているが、もう一方の北欧デ-タは未公開のまま取得グル-プ(ドイツ・ミュンスタ-大学)の研究用にのみ使われてきた。京大地磁気世界資料解析センタ-(WDCーC2 for Geomagnetism)は、このデ-タの公開についてミュンスタ-大学と交渉し、その結果、バックアップ用に保存されていた一組のフィルムデ-タが京都大学に移管された。 本研究は、この移管デ-タを複製・整理して一般研究者への提供を可能にすると共に、北米デ-タと組み合わせて地磁気短周期方変化を、特にその経度依存性と微細構造に重点をおいて研究することを目的としていた。 移管されたデ-タは、シネマ用35mmフィルムに複写され、直径40cmの大リ-ル42巻に収められていた。このデ-タの連続記録の単位は約50mであるので、これ以下に短く切れず、リ-ダ-プリンタ用小リ-ル(直径9.2cm、30m巻き)に分割収納ができなかった。また、世界に2セットしかない貴重なデ-タなので、移管フィルムはそのまま保存するのが望ましい。そこで、50mを小リ-ルに巻ける特別製の薄いフィルムに複写して、研究用に用いることにした。 初年度には、移管デ-タの内容のチェックと入札による分割複写を行った。その結果、合計567巻の研究用小リ-ルフィルムデ-タが誕生した。2年度前半には、この567巻のフィルムに観測期間を表すラベルを貼り検索用のリストを整備した。後半には、磁気嵐急始部、地磁気脈動それぞれ2例につき、北欧北米両磁力計ネットワ-クデ-タを用いた解析を行った。解析はなお、続行中である。
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