研究課題/領域番号 |
01460274
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
小林 隆幸 滋賀医科大学, 医学部, 助教授 (50065562)
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研究分担者 |
五十棲 泰人 京都大学, 放射同位元素総合センター, 助手 (50027603)
福村 和子 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (70127033)
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キーワード | 共鳴電子メスバウア-分光法 / 低温 / 表面酸化物 / 超微粒子 |
研究概要 |
本研究の目的は、様々な条件のもとで金属表面に生成する酸化物の磁気的性質(磁性)を、従来は不可能とされてきた絶対温度1.5度(1.5K)から室温までの共鳴電子メスバウア-スペクトルを観測することにより、明らかにすることである。そのために、純鉄の箔を4%の食塩水に浸して表面を酸化し、その共鳴電子メスバウア-スペクトルを絶対温度が300度、78度、6.3度で観測した。その結果次のようなことが明らかになった。 1.低温での共鳴電子メスバウア-スペクトルを観測する実験技術が確立された。従来は絶対温度で78度までの測定しかできなかった。この測定技術は広く一般の物性研究に応用できるものである。 2.純鉄表面にできる酸化物は超微粒子の集合体で78度ぐらいでは磁気的性質を示さず、6.3度まで冷やして始めて磁性が現れることがある。この場合の微粒子の平均直径は約4ナノメ-トルであった。 3.純鉄が酸化する際溶液中の酸素濃度が低いと、酸化物微粒子の粒径と箔を溶液に浸す時間との間には相関はない。しかし酸素濃度が高いと、溶液に浸す時間とともに粒径は大きくなる。すなわち、表面酸化物を作っている微粒子の直径は浸される溶液中の酸素濃度に強く依存している。 金属表面酸化物の磁性をさらに詳しく調べるには、さらに低い温度から絶対温度で30度ぐらいまでにわたってスペクトルをとる必要がある。そのために極低温用小型冷凍機を購入したので、現在それを使って上に述べたような温度範囲で比例計数管を作動させるように準備をしているところである。
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