• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

1990 年度 実績報告書

南極みずほ700mコアの示す大気環境変動の研究

研究課題

研究課題/領域番号 01470001
研究機関名古屋大学

研究代表者

金森 悟  名古屋大学, 水圏科学研究所, 教授 (00022541)

研究分担者 渡辺 興亜  国立極地研究所, 教授 (60111861)
金森 暢子  名古屋大学水圏科学研究所, 助教授 (70022572)
キーワードみずほ高原 / 700mコア / エアロゾル / 南極氷床 / 大気環境 / Cl / Na比 / ギ酸 / メタンスルホン酸
研究概要

コア試料の配分が遅れたが、入手できた試料から得た結果に基づいて以下の結論を得た。
1)Cl/Na比
Cl/Na比は表面近くでは海塩の値(1.8)に近いが、深さと共に徐々に増加し、約500m以深(約5000〜9500年)で3近くまで増加する。同様な増加はDome Cの5000〜9000年に相当する深さでも見出されている。その原因は明らかでないが、大気循環の変化が起った事を示していると考えられている。同様な現象がみずほ基地でも見出された事は興味深い。
2)ギ酸
ギ酸は表面に近い変化の大きな値(35〜10μg/l)から、深さと共に単調に減少して300〜600mで約2μg/lに低下する。その後最深部650〜700mで、やや増加して約5μg/lに達する。大気中のギ酸についての報告は多くはないが、その起源は地上の植物からの放出、焼畑や自動車排気などにあると考えられている。これらを考え合わせると、最近の数100年間に大気中のギ酸濃度は大幅に増加しており、主に人間活動に基づいている可能性が高い。南極氷床中に大気汚染の跡がこのように明瞭に見出された例はそう多くはない。
3)メタンスルホン酸(MSA)
一般にはMSAは海洋のプランクトンの活動を反映すると予想されるが、得られた結果では相当に激しい変化を示しており、全体にわたる特別な変化の傾向は明らかではない。他方みずほ高原で採取した大気エアロゾルの測定を行ったところ、MSAは0.2ー0.3μmの微小粒子として存在し、海塩起源ではないことが明らかとなった。それ故コア試料中のMSAは硫化ジメチルを先駆体として生じたものと考えられ、複雑な輸送経路を経ていると考えられる。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] Nishikawa,M。,et al。: "Chemical components of marine aerosol over the Antarctic Sea" Proc。NIPR Symp。Polar Meteorol。Glaciol。. 3. 100 (1990)

  • [文献書誌] Kanamori,S。,et al。: "Chemical nature of heavy metal elements in Antarctic snow。" Proc。NIPR Symp。Polar Meteorol。Glaciol。. 3. 103 (1990)

  • [文献書誌] Kanamori,S.,et al。: "The state of minor constituents in the Antarctic snow and ice。" Proc。NIPR Symp.Polar Meteorol Glaciol。. 4. (1991)

  • [文献書誌] Nishikawa,M。,et al.: "Elemental and organic carbon aerosols over the Antarctic Sea。" Proc。NIPR Symp。Polar Meteorol。Glaciol.4. (1991)

  • [文献書誌] Kanamori,S.,et al。: "Chemical characteristics of atmospheric aerosols at Shyowa Station。" Proc.NIPR Symp。Polar Meteorol Glaciol。. 5. (1991)

  • [文献書誌] Nishikawa,M.,et al。: "Atmospheric carbon flux at Shyowa Station." Proc。NIPR Symp。Polar Meteorol。Glaciol。. 5. (1991)

URL: 

公開日: 1993-08-11   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi