研究概要 |
1.超音波照射法によるリポソ-ムの作成 Dimyristoylphosphatidylcholine(DMPC)、リン脂質の薄膜を水溶液(pH=7.4)中に懸濁させ、MLV(多重膜リポソ-ム)からUV(一枚膜の小さいサイズのリポソ-ム)への移行過程をMicrocal社のMCー2型DSC装置(科研費で購入)を用いてゲル-液晶相転移モニタ-することで追跡した。この移行過程は超音波出力、時間および試料温度に依存することが明らかになった。 2.種々リポソ-ムの熱的挙動 MLV,LUV(大きいサイズ1枚膜リポソ-ム)およびSUVはゲル-液晶相転移に関してそれぞれ特有の転移ピ-ク形状、転移温度および転移エンタルピ-を示す。MLVからSUVへの移行に際しては、ピ-ク形状は先鋭的なものから幅広い形状に移行し、転移温度およびエンタルピ-は共に減少する。 3.リポソ-ムの熱力学的安定性 上述のSUVはゲル-液晶相転移以下の温度領域では不安定でリポソ-ム間の自発的融合を繰り返し、LUVに移行する。冷却温度が-20℃の条件下ではMLVに至る。この冷却操作に基づくSUVからMLVの移行過程は、3種リポソ-ム間での転移温度およびエンタルピ-デ-タ-から示唆されるように、SUV、LUV、MLVの順で熱力学的安定性が増大することを示す。
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