研究課題/領域番号 |
01470023
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
澤田 正實 大阪大学, 産業科学研究所, 助教授 (70029883)
|
研究分担者 |
高井 嘉雄 大阪大学, 産業科学研究所, 助手 (20127244)
|
キーワード | 置換基効果 / Nー15 NMR化学シフト / Oー17 NMR化学シフト / アゾキシベンゼン / 置換基化学シフト / 核磁気共鳴 / LSFE式 / 拡張 湯川ー都野式 |
研究概要 |
基質ー置換基あるいは検出中心ー置換基間の電子的相互作用の解明は、基礎有機化学上の中心課題である。従来、Cー13核NMRなどを検出手段とするさまざまな電子効果解析がなされてきたが、直線関係式や曲線関係式が提案され、今だに統一化概念はない。本研究は、Oー17核、Nー15核などのいわゆる他核NMRに焦点をあて、特異な共鳴効果レスポンスを示すN→O配位結合を有するピリジンNーオキシド類縁化合物をタ-ゲットに選び、同一化合物中の複数個の検出中心をNMR測定することにより、「物性及び反応性を支配する共鳴効果相互作用を高次精密解析すること」を目的とした。初年度は特に芳香族側鎖位にN→O配位結合を有する4ー置換ートランスーNNOーアゾキシベンゼン類(AZOXY)の解明に精力を傾注した。(1)Oー17 nmr置換基化学シフト(SCS)及びNー15 nmr置換基化学シフトを精密測定し、(2)対応する原子上のパイ電子密度を分子軌道計算し、(3)代表的置換基化合物のX線結晶構造解析を実施し、(4)得られた結果の高次精密解析を行って、以下の成果を得た。いくつかの必要な化合物の純度分析や精製などには備品として購入した液体クロマトグラフが活躍し、研究の進展を加速した。 1.AZOXY系のNー15 nmr SCSやOー17 nmr SCSは対応する4ー置換ピリジンNーオキシド類(PYNO)のSCSに比べてほぼ1/3に減少した。NやO上のパイ電子密度計算値には明確に反映されなかったが、Nー15やOー17 nmr SCSには「パイ電子供与性共鳴寄与とパイ電子求引性共鳴寄与の度合が同一でない(系によって変化する)」という共鳴効果の2元性が明確に認められた。 2.高次精密解析の結果、AZOXY系ではOー17 nmr SCSおよびNー15 nmr SCSともにLSFE式が成立する。類縁系と比較した結果、芳香族側鎖共役位にN→O配位結合を持つ化合物は、NおよびO上でパイ電子求引性共鳴効果が大きくおさえられることが判った。
|