研究概要 |
本研究では、主として、(1)4ー置換ートランスーNNOーアゾキシベンゼン(AZOXY)系のOー17,Nー15nmr置換基化学シフト(SCS)の精密測定と解析、(2)(4ー置換ーベンジリデン)フェニルアミンーNーオキシド(NITRON)系のNー15nmrSCSの精密測定と解析、(3)1ー(4ー置換ーピリジンーNーオキシド)ー3ーエチレンー2,4ージクロロ白金(II)錯体(PYNOPT)系の固体高分解能Ptー195,Cー13nmrSCSの精密測定と解析、さらに、(4)基本化合物である3ーおよび4ー置換ーピリジンーNーオキシド(PYNO)系のOー17,Nー15nmrSCSの精密解析、および、(5)PYNO系の塩基性に及ぼす置換基効果の精密解析を行った。 1.(1),(2),(4)の系における他核nmrSCSは「LSFE式」で高次精密解析が成功し、「パイ電子供与性共鳴寄与とパイ電子求引性共鳴寄与の度合は、系によって変化する」という共鳴効果の二元性が、これらのパイ電子系N→Oシステムで明確に認められる。 2.(3)の系における固体Ptー195nmrSCSは、電子求引性基による低磁場シフトという、いわゆる正常方向置換基効果を示し、Pt核まで遠隔置換位置からの電子効果が伝達されている。固体Cー13nmrSCSの精密解析は、PYNO酸素原子のパイ電子がPtとの配位結合に使用され、芳香環への非局在化が減少し、その結果「N→OーPt」グル-プが電子求引グル-プとして働くことを示している。 3.(5)の系における塩基性に及ぼす置換基効果の精密解析結果をも含めて、本研究で取り上げた全ての、N→O配位結合を有するヘテロ芳香族系や芳香族側鎖系において、置換基電子効果は系特異的な共鳴効果の二元性を示し、LSFE式で合理的に高次精密解析できると総括される。
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