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1990 年度 実績報告書

古細菌の細胞膜を構成する特異な脂質の生合成機構

研究課題

研究課題/領域番号 01470027
研究機関東京工業大学

研究代表者

柿沼 勝己  東京工業大学, 理学部, 教授 (90092543)

キーワード古細菌 / 好酸好熱菌 / 好塩菌 / キラル標識 / エ-テル型膜脂質 / 重水素化グリセロ-ル / トリオ-スリン酸イソメラ-ゼ / 糖代謝
研究概要

好熱性好酸性古細菌<sulfolobus>___ー <acidocaldarius>___ーの細胞膜を構成するコア脂質の生合成について,重水素標識グリセロ-ルによる標識実験により,グリセロ-ルがグリセロ-ルー1ーリン酸を経由して立体特異的に脂質に取り込まれることを明らかにした。さらに糖代謝との関連を,Dー〔6,6- ^2H_2〕グルコ-ス及びDー〔5- ^2H〕グルコ-スの合成とその添加培養,さらに単離した脂質の ^2HーNMR解析により検討し、いずれの重水素も膜脂質に取り込まれることを明らかにした。この結果を類縁古細菌における脂質生合成と比較するため,Dー〔5- ^2H〕グルコ-スを好塩菌<Halobacterium>___ー <halobium>___ーを用いて同様に追跡した。 ^2HーNMR解析の結果グルコ-スCー5位の重水素は全く脂質に取り込まれないことがわかった。これはグリセロ-ル代謝だけではなく糖代謝においても両古細菌の間に違いがあることを示唆する。通常の糖代謝ではトリオ-スリン酸イソメラ-ゼが関与してグリセロ-ル代謝と連結し,本酵素の反応では水素の転位が生じるが,好塩菌ではこれが見られないことを意味する。従って今後古細菌におけるこの間の代謝を詳細に調べる必要がある。それにはDーグルコ-スのCー4位水素の挙動を調べることが重要であり,現在Cー4位重水素化グルコ-スの合成を検討している。さらに,その重水素の運命を明らかにするためには脂質グリセロ-ルのメチレン基をキラル標識した標準物質を用意する必要があり,本研究ではジアセトングルコ-スの分子全体の不斉構造を活用した全く新しいキラル標識グリセロ-ルの合成法を開発し,Dーグルコ-スから10工程でメチレン水素の唯一個のみを重水素化し,二個の不斉中心の立体化学を制御した四種のグリセロ-ルを合成することに成功した。このグリセロ-ルを立体特異的にジフィタニル化する検討を進めている。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] Katsumi Kakinuma: "Biosynthetic Mechanism of <sn>___ーー2,3ーDiーO__ーーPhytanyl Glycerol,Core Membrane Lipid of Archaebacterium Halobacterium halobium" J.Amer.Chem.Soc.,. 112. 2740-2745 (1990)

  • [文献書誌] Katsumi Kakinuma: "The Stereochemical Fate of Glycerol during the Biosyntlesis of Membrane Lipids in Thermoacidophilic Archaebacteria Sulfolobus acidocaldarius" J.Chem.Soc.Chem.Commun.,. 925-927 (1990)

  • [文献書誌] Katsumi Kakinuma: "Diacetone Glucose Architecture as a Chirality Template.Synthesis of Glycerol Isotopomers with Chiral Deuterium Labeling"

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公開日: 1993-08-11   更新日: 2016-04-21  

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