炭素質隕石に代表される始原的隕石に含まれ、太陽系初期の隕石物質形成に関わる情報を得るに有用と考えられる希ガス原始成分と、その担体を調べることを目的として分析装置の設置調整を行っている。これまでに知られている主要な原始希ガス成分は隕石中に局在する炭素物質に存在することがしだいに明らかになってきている。この担体物質からレ-ザ-加熱により抽出される希ガス量は極めて微量と予想されるため、その同位体分析には装置の十分な調整が必要である。現在の研究の進展状況は以下のようである。 1.レ-ザ-:日本レ-ザ-製YAGレ-ザ-本体(Model TWO-43)と加工用光学系を購入した。これは発生パルス数とエネルギ-を一発ずつ制御でき、最大発振パルス数は15/秒、最大エネルギ-は400mJ/パルスである。地球岩石を用いた加熱溶解実験では微小部分の溶解が可能であることを確認した。 2.希ガス質量分析計:英国VG社製(VG5400)であり、1989年設置の後調整をおこなっている。高感度・低バックグランド化に関しては良い水準に達したが、極微量希ガス分析の際の妨害イオンを質量分離するためには更に高い分解能が望ましい。また、装置付属の制御用コンピュ-タ・システムが不完全であるため迅速な分析やデ-タ処理が行えないなど微量分析において不安があり、コンピュ-タ機種の変更を含めて改善に向けて努力中である。 3.試料:Allende隕石(C3)の断面試料を作成し電顕・EPMAによる断面写真と元素分布図を作成中である。 今後早急に真空中でのレ-ザ-加熱のテストを行い、実際の希ガス分析体勢を整える予定である。
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