| 研究概要 |
1.モリブデン酸,タングステン酸とP,As,Si等の二元ヘテロポリ酸生成時にIV_A V_A金属が存在すると三元ヘテロポリ酸が生成する.これらヘテロポリ酸と染料陽イオンのイオン会合反応のメカニズムを追求すると共に,本反応の分析化学的利用面を研究することを目的とした。2.陽イオン染料の平衡論,速度論的知見がイオン会合反応の解析に必要である.染料のプロトン付加,脱離,水の付加,脱離反応のメカニズムを解明した.代表的トリフェニルメタン系染料陽イオン5種について,ストップフロ-法を用いて全ての平衡定数と速度定数を求めた.これらの染料はアルカリ性では勿論,酸性溶液中でさえも水の付加により,無色のカルビノ-ル体になることが分った.水の付加反応は疎水性の小さい染料ほど起こり易いことも判明した.本検討結果により,あらゆるpHにおける染料の存在種及び割合を求めることが可能となった.3.ヘテロポリ酸生成反応に及ぼす諸因子について検討した.アルコ-ル類(エタノ-ル,プロパノ-ル等),アセトンそして第4級アンモニウム塩も反応を促進することを見い出した.同様に染料イオンのプロトン付加体HMG^<25>(MG^+:マラカイトグリ-ン)は著しく反応速度を促進する.これは,陽イオン染料の利用は分析感度の向上のみならず,反応促進,収率向上の点でも有利なことを示している.4.イオン会合反応について検討した.ヘテロポリ酸のみならずV,Moは酸性でHMG^<2+>とのイオン会合体を生成することを見い出した.さらにPーVーMo,PーZrーMo三元ポリ酸もMG^+とイオン会合することを確認し,分析的有用性を見い出した.5.染料陽イオンとのイオン会合に基づくV,P,Siの高感度吸光光度法を開発した.Siのフロ-ティション併用による吸光光度法はモル吸光係数7.6×10^5l mol^<-1> cm^+と,Siの最高感度法であり,超純水中のSubーpptのSiの定量も可能とした.
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