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1990 年度 実績報告書

フレ-ムレス原子吸光におけるモル感度の周期性と原子化機構に関する基礎的研究

研究課題

研究課題/領域番号 01470038
研究機関広島大学

研究代表者

岩本 悦郎  広島大学, 理学部, 助教授 (80033918)

研究分担者 熊丸 尚宏  広島大学, 理学部, 教授 (50033816)
キーワードフレ-ムレス原子吸光 / メタル炉原子吸光 / タングステンコ-ティング炉 / 原子化機構 / 海水中のスズの定量 / 生体試料中のスズの定量
研究概要

フレ-ムレス原子吸光においては目的元素と炭素との反応性,多孔質な炉壁への試料溶液の浸透や生成原子の拡散が原子化機構に大きく関与している。本課題の研究では炉材中に試料溶液や生成原子が浸透しないメタル炉やメタルコ-ディング炉の感度の周期性および原子化機構を速度論的に考察し,黒鉛炉と比較しながら,原子吸光の絶体定量法へのアプロ-チを目標とすると共に,メタルコ-ティング炉の環境試料及び生体試料への応用を試みた。得られた結果は次の通りである。
1.黒鉛炉にタングステンをコ-ティング(Wー)した炉について感度を比較した。Wーコ-ティングは従来浸漬法が用いられていたが,当研究では単にNa_2WO_4水溶液を100μl炉に注入し,原子化サイクルで焼き付けるだけで充分増感効果があることを見い出した。この炉はSn,Ta,Siに有効で,とくにSnに対しては有機溶媒マトリックスで生じるダブルピ-クの発生を完全に押え,Siに対しては有機ケイ素に有効であった。
2.単純なマトリックスからなる標準溶液中のSnに対しては,パイログラファィト炉(PG)にWーコ-ティングしたWーPGがPG炉に比べて5.8倍の増感を示して最良であるのに対して,スズの生体試料に対しては非パイログラファイト炉(NPG)にコ-ティングしたWーNPGが最良で,複雑なマトリックスに対して有効であった。これはNPGの表面の多孔性により保持性がよく,充分灰化が出来るためと考えられる。
3.海水中のスズについては前処理なしでは定量が不可能であったが,WーNPG炉とマトリックス修飾剤としてPd(II)を用いると,灰化温度1700℃で1%吸収感度が0.028ngで定量が可能となった。
4.Wーコ-ティング炉を用いれば液状以外の有機ケイ素と無機ケイ素の高感度定量が可能となった。いずれの場合にもSiO_<2(S)>→SiO_<(S)>→SiO_<(g)>→Si_<(g)>の原子化機構を取ることを明らかにした。

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] E.Iwamoto: "Mechanisms of atomisation of tin in organic matrices in graphite furnace atomic absorption spectrometry" J.Anal.At.Spectrom.4. 433-437 (1989)

  • [文献書誌] E.Iwamoto: "Graphiteーfurnace atomicーabsorption spectrometry with graphiteーcloth ribbon and its applicability to determination of arsenic in biological materials" Talanta.

  • [文献書誌] E.Iwamoto: "Graphite furnace atomic absorption spectrometry with tungstatecoated tubes for tin determination" J.Anal.At.Spectrom.

  • [文献書誌] S.Ohkubo: "Chemical and physical atomisation efficiency in graphite furnace atomic absorption spectrometry" J.Anal.At.Spectrom.

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公開日: 1993-08-11   更新日: 2016-04-21  

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