研究課題/領域番号 |
01470040
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
分析・地球化学
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
出口 俊雄 熊本大学, 理学部, 教授 (00040113)
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研究分担者 |
吉田 昌文 熊本大学, 教養部, 助教授 (10040114)
田中 明 熊本大学, 理学部, 助手 (50163499)
実政 勲 熊本大学, 理学部, 教授 (60040119)
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研究期間 (年度) |
1989 – 1990
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キーワード | オリゴ糖 / 包接錯体 / 芳香族炭化水素 / 濃縮 / シクロデキストリン / 会合定数 / 協同沈殿 / テフロン(ポリテトラフルオロエチレン) |
研究概要 |
水溶性のオリゴ糖であるシクロデキストリンは、空洞を有する特異な構造をし、水溶液中で種々の疎水性溶質と安定な包接体を形成することが知られている。シクロデキストリン水溶液にシクロヘキサン蒸気を通気すると、シクロデキストリンが固相として析出する現象を見いだした。この現象に基づいて、水溶屋中の疎水性溶質をシクロデキストリンに捕促し濃縮する方法を開発した。本法は、揮発性の高い溶質を除いて、微量の芳香族炭化水素を水溶液から効果的に分離するのに有効であることが判明した。α、β、γーシクロデキストリンのうち、この目的に最適なものはβ体であること、さらに、デキストランやデキストリンのような非環状の水溶性糖類は疎水性溶質を捕促する上で有効ではないことが明らかになった。さらに、シクロデキストリンに対する疎水性溶質の包接されやすさと濃縮率との間には直接の関係がないことが分かった。ポリテトラフルオロエチレン(テフロン)フィルム表面に水溶液中の疎水性溶質を捕促する新しい方法を開発した。この方法は、無電荷金属錯体や揮発性の低い芳香族炭化水素に適用できることを明らかにした。さらに、その濃縮機構について検討した。テフロンフィルムを浮かべた水溶液中にクロロホルム蒸気を通気すると、フィルム表面はクロロホルムによって皮膜され、その皮膜層に疎水性溶質が抽出されるものと思われる。 シクロデキストリンの分析化学への応用を広げるうえで、種々の疎水性溶質との水溶液中での会合定数に関する正確な知識は必要不可欠である。この観点から、α、β、γーシクロデキストリンと一連の多環芳香族炭化水素及び代表的ないくつかに有機溶媒分子との包接体生成定数を実測し、それらの包接機構を明らかにした。
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