研究概要 |
1.パ-キンエルマ-社製1720XS型FTーIR分光器を購入し、グリ-スレスで水銀フリ-の試料調製用の真空ラインと赤外および紫外分光用のセルの改良および試作を行なった。低温で気相ー気相反応の反応速度と平衡定数を求めるため、現有のクライオスタットを改良し、購入したFTーIRと組合せた測定装置を制作した。試料導入用のラインせ製作し、低温固体に関する予備的な研究を行なった。マトリックス単離法でパルス状試料調製用のパルスジェネレ-タ-を試作した。 2.地球大気化学に関与し、現在使用量が増大している1,1,1ートリクロロエタン(CH_3CCI_3)と塩素ラジカルの反応により生成するCH_2CCI_3ラジカルと酸素の反応について研究した。CH_2CCI_3ラジカルは地球大気中においてCH_3CCI_3とOHラジカルとの反応で生成するが、CI原子の転移によりCH_2CICCI_2ラジカルに変化し、CIやCIOラジカルなどを放出する可能性が共同研究者のF.S.ロ-ランド教授より指摘されていた。しかし本研究による結果は、CH_2CCI_3ラジカルではCIの転移の可能性が低いことを示唆し、CH_2CCI_3はCCI_3CHOを経由して、COCI_2、CO、CO_2に分解することが推定された。またCH_2CICOCIのCI原子およびO_2との反応ではCOCI_2の生成は認められなかった。 3.コイル状低圧水銀灯により周囲より光照射が可能な赤外分光器用のセルを設計し、惑星(木星)大気光化学に関係するホスフィン、ジホスフィンの気相光化学反応をFTーIRにより研究した。ジホスフィンは不安定であり市販されていないので、ジホスフィンの新しい簡便な調製法について研究し、テスラ-コイル、放電管、約160Kのエタノ-ルスラッシュを使用した放電化学法によりジホスフィンが容易に得られることが明らかになった。ホスフィンおよびジホスフィンの光化学反応固体生成物をFTーIRにより研究した。
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