研究概要 |
1.超構造ポルフィリンの合成 新種の嵩高いポルフィリンmeso-tetrakis(2-methoxy-5,5,8,8-tetramethyl-6,6,7,7-tetrahydro-1-anthryl)porphyrinを合成、熱安定性の高い4種のアトロ-プ異性体を完全に分割し、そのRu錯体に誘導した。αααβ,ααααの2異性体はポルフィリン平面に関し上下非対称になるため挿入される金属イオンがさらに上下異なる軸配位と結合する場合には新たに2種類の異性体が可能であり、異種軸配位子が上下とちらの配位点に好んで結合するかの所謂「軸配位子位置選択性」の問題がでてくる。Ru(por)(CO)(py)がこれに該当する。このαααβ体ではピリジン1H-NMRスペクトルのo-,m-,p-それぞれについて2組のシグナルが認められαααα体では1組のシグナルのみが観測された。αβαβ,およびααββ体では1組の1H-NMRスペクトルのみがピリジンについて認められた。高磁場シフトの傾向よりαααβ体については深いポケットの配位点にピリジンの結合した異性体がより多く存在し、浅いポケットの配位点に結合した異性体は少ない。一方、αααα体では深いポケット体にピリジンが配位した異性体のみが主成分と考えられる。αααα体のX線結晶構造解析を試みたが好適な単結晶試料の調整は不成功であった。なお当研究の結果は第27回配位化学国際会議(Broadbeach,Queensland,Australia;1989年7月2日;M117)にて一部発表した。 2.白金錯体の合成と構造決定および抗腫瘍性スクリ-ニング 構造決定したいくつかの化合物については顕著な抗腫瘍性が認められた。 3.ヘテロポリ酸の構造解析 銅の単核、複核、6核を含むポリモリブデン酸を合成、構造決定し、その磁性と構造の関係を検討した。
|