研究概要 |
1.ルテニウム(II)ポルフィリンを用いた酸素添加反応 新種の錯体、テトラキス(2、6ージフルオロフェニルポルフィリンルテニウム(II)(CO)(NーMeIm)を合成しその性質を記載した。本錯体はtーBuOOHまたは次亜塩素酸を酸化剤として使うと炭化水素の酸化触媒反応を起こすことが出来る。炭化水素がスチレンやαースチレンの場合には、エポキシドよりもむしろC=C二重結合の開裂がみとめられた。シクロオクテンのエポキシ化反応やシクロヘキサンの水酸化反応はtーBuOHを酸化剤とすると十分な効率で達成された。反面で、次亜塩素酸を使用した場合には極めて低い触媒活性でしかシクロオクタンやシクロヘキサンの酸化は起こらなかった。 2.抗腫瘍性白金錯体の成合と構造決定 硼酸の安定な結晶性の化合物、C_6H_<14>N_2)Pt(B_2O_5H_2)・2H_2Oが、(C_6H_<14>N_2)Pt(OH)_2と硼酸の反応から得られ、X線結晶解析の結果、B_2O_5H_2^<2->と白金原子が6員環キレ-トを形成していることが判明した。類例のない、硼酸の新規化合物である。 昨年度に引き続き、一連の二核白金錯体、[PtL_2(slac)]_2・3H_2O(ここでslacは、スルフォ酢酸陰イオン(2ー)、LまたはL2は1,2ージアミノシクロヘキサン、1,2ージアミノエタンまたはアンミン)を合成した。いずれの錯体も、カルボン酸架橋の二核構造を有し、形式的にはzwitterion型の二核錯体である。このうち、ジアミノシクロヘキサンの錯体では珍しく、顕著な抗腫瘍性を示した。 3.新規ヘテロポリ酸塩の合成と構造 クラウンエ-テルにカリウムイオンを補足させ、CoーMo系のヘテロポリ酸塩を単離、構造解析によりその組成と形態を決定した。
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